艦隊これくしょん -艦これ- 鶴翼の絆

陽炎主人公の方のノベルで精神的な吐き気を催しながら手にとった本作。でも、大丈夫だった!これは大丈夫!
軍艦だった私は、ある日目覚めると美少女になっていた!?という展開から始まります。太平洋戦争のことをあの戦争と呼び、しかもそれが連呼されるのでそこだけはややうんざりといったところですが、キャラクターの特徴もよく掴んであると思いますし、海戦の描写もしっかりしていますし、艦これのラノベとしては必要な要素をすべて満たしていると思います。
陽炎の方が青春小説とするならば、こちらは戦記モノ?違うか、こういうのなんていうんだろう、マヴラブみたいなジャンルのやつ……わかんないけど、そんな感じです。結構世界を動かす戦いに身を投じてる緊張感もあり、そんな戦場で育まれる艦隊の絆も熱くてグッドです。和気藹々なのはそんなにありませんが、そういうのはアンソロジーコミックスや二次創作界隈でお腹いっぱいに味わえますし、多少は……。


それにしても登場も早々にレイプ目の大和さんどうなるんですかね、次巻が楽しみですね。

咲 -saki- 全国編 第1話〜最終話

このアニメ見ると一瞬だけ麻雀やりたくなってオンライン麻雀の卓につくけどafk多すぎてブチギレすること多すぎじゃないですか。


思い入れがあって好き!なわけでもないですが、長く続くシリーズですし今までの流れで観てしまう咲です。全国編だし2クールあるか!?と思ったら1クールだけだったんですね、しょんぼり。
内容は全国大会の会場入りからのミニ合宿、そして準々決勝の先鋒〜大将戦+αの内容です。まぁ、特筆すべきこともなく、いつもの咲と言ってしまえばそれでおしまいなのですが、敢えて言わせてもらうと咲さんをラスボスっぽくするのに味をしめたんですか、スタッフの方々…。完全に白い悪魔じゃないですか…。


咲で一番かわいい天江衣ちゃんの姿を見れたのでそれだけで満足です。本当にちょっとだけだったけどな!

艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します!

艦隊これくしょんっていうクソゲーがありまして、クソゲーなのに10ヶ月経った今もやめられないんです。クソゲーなのに!やめらんねぇ!雷ちゃんかわいすぎでしょ!


そんな艦これの栄えある第一号ノベルが本作、「艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します!」です。
艦これは大ヒットを記録してしまって、それぞれのファンが求めるものもたくさんなのは承知の上でいわせていただきますが、どうも本作は僕の思っていたのと違う!でした。雷撃の仕方とかそういうはっきりと定められてない設定が多少ふわっとしているのはまったく問題ないんですよ。でも、艦これの肝と言って良いキャラクターが生かされていない、というか、うーん……一言で言ってしまうと不愉快な味付けがされているのが非常に納得いきません。
内容はといえば、最初はバラバラだったチームが紆余曲折を経て団結を得るというド直球な青春小説なんですが、いかんせんキャラクターのトゲがたちすぎていけません。作者さんがそういう風な作風なんでしょうが、あまりにも険がありすぎです。
例に上げると、まずは高雄・愛宕の両名。あまりにも無責任すぎます。司令官を透明な存在にするギャルゲ手法なのはいいのですが、仮にも秘書官という立場であり目上の人間が、そんなのでいいのですかね。ちょっとイラッとします。
次に曙。元々が愛嬌のあるキャラクターでもありませんが、誰かれ構わず撒き散らす言葉の暴力(&リアル暴力)。それが強調されすぎ、行き過ぎです。不愉快です。
……これ以上口を開くと文句しか出てこないのでやめておこう。


迷わず言えますが、艦娘たちの和気藹々としたやり取りや海戦の緊張感などを求める人はこの作品は避けましょう。これは艦これを素材に使った青春小説であり、不愉快な側面がピックアップされた彼女たちでも一向に構わないという人は読んでもいいのではないでしょうか。それは絶対嫌だという方は瑞鶴が主人公の「艦隊これくしょん -艦これ- 鶴翼の絆」を読んだほうが幸せになれます。

キルラキル 第1話〜最終話

キルラキルめっちゃ面白かったです。やったー!


序盤は昔懐かしい感じの学園闘争モノ。そこから始まって風呂敷がドンドン膨らんでいき、ついに壮大で熱いラストの展開へ!
まぁ知ってたんですけどね。知ってたけど、やっぱりおもしろいわけですよ。それに勢いもすごくて、第1話からバンバン飛ばして本当に最後までこの勢いが続くのかと思っていたら、どっこい続くどころか加速してしまうのがここのすごいところです。
逆に、あんまりうるさいアニメが好きではないって人は大変かもしれないなぁ、と。それに週に1回のテレビ放送だからよかったけれど、これがまとめてイッキ見するってなるとものすんごい疲れると思う。絶対つかれる。でもやめらんねぇ。


しかし、ここまでどのキャラクターも好きになったアニメってあんまりないかも。特に好きなのはまこちゃんなんですけどね。友情って最高だよね!友情サイコー!後期EDとか今年の好きなEDトップ3にはいりますよ。
いやー、おもしろかったなぁ、キルラキル。(語彙力皆無マン)

見晴らしのいい密室

なんかミステリっぽいタイトルだし、オンライン通販の商品紹介もミステリっぽいこと言ってますが、ミステリを期待してると大爆死するので注意すべき一作。ミステリはロジックだしこの人の作風もロジカル(&グロテスク)なので問題ないっちゃあ問題ない気もする。たぶん問題ない。
オチが期待していたよりもパンチが弱いのがやや残念。
見えない侵攻者との戦いを描く一編(手元に持ってくるのめんどくさいのでタイトルはわからない)は面白いと思いました。


小林泰三氏は「天体の回転について」と「海を見る人」が短篇集でありながらも絶妙なまとまりをもっていたので大好きだったのですが、それを期待して意気込んで読むと肩透かしをくらうはず。あまりオススメできる一作ではなかったかも。

スペースダンディ 第1話〜最終話

スペースダンディとは、宇宙のダンディである!


そんなスペースダンディでした。いろんな人が(おそらく若手?)けっこう好き勝手に作ってる感じでオムニバス形式なスペースダンディ。いろんな人が脚本やってるように見えただけあって、話によって面白かったりつまらなかったりの差が見受けられましたが、どんな人でもいくつかは気に入る話が見つかるのでは。個人的には第2話、第5話、第9話、第10話、第13話が好みでした。なんかド定番でベタベタな内容の回ばっかりだけどしょうがないよね。
つーか今wikipediaの項目を見に行ったら脚本に円城塔氏を起用したりもしてたのね。言われてみれば確かにあの回は異質というか円城塔臭なわけわからん感じがあった気もする。気がしてた。言われてみればって、便利だね。


何がすごかった!ここがすごかった!っていうのは言葉にできるほど強烈なものはなかったけれど、こういう作品もたまには新鮮でおもしろかったなぁという話。スペースダンディ好きだよってことを昔の自分が知ったら、オサレオタク気取ってんじゃねーぞとか言いそう。

第六ポンプ

SF界の新星(らしい)、パオロ・バチガルピ氏の短篇集となります。氏の作品は、話題になったねじまき少女は読んでおりますが、この短篇集も世界観を同じとする作品がいくつか収録されていました。というかあれですね、たぶんねじまき少女で世界観をある程度把握してなかったらちょっともう少し説明くださいってなりましたよねたぶん。理解力と想像力が足りない人間にSF(説明がはしょられる短編ならなおさら)を読む資格はないのかな。悲しいね。サンキューあとがき。


この人の作品、いわゆるブレードランナー的な未来の退廃した側面をピックアップしてることが多くて、ぶっ続けで読んでたらわりと気が滅入りがちになりました。SFって自由でいいと個人的には思うんですが、現実の延長線上にあり得るところとか現代に警鐘を鳴らすとか、そういうところが古き良きSF愛好家の間で高い評価を得ているのかなぁとか思います。適当ですけど。プロフィールをちゃんと見てないですけど、作者さんはきっと生物化学を専攻した人なんじゃないかなぁ、なんか昔取ったなんとかで作風に独特の色付けがされるのもSFのおもしろいところだなぁ。


収録された作品の中でも特に興味を引かれたのは「カロリーマン」「ポップ隊」「第六ポンプ」の3本でした。
「カロリーマン」が収録作の中では一番希望にあふれたお話だと思ったので、ハッピーエンドを好む僕が好むというやつです。あとは、すでに出来上がった巨大な社会の仕組みの前では無力なのをさんざわからされるこの人の作風の中でも、これだけはそれを突き崩せるのではと思わせるのが、日本の漫画やゲームに育てられた僕の何かを刺激しているのかもしれません。無力なだけは悲しいからね。
「ポップ隊」は、そういえば不老不死の技術が完成したらこうなるよねというまったく考えていなかった視点をガツンとぶつけられたのがなかなか刺激的でしたので。不老不死を手に入れて、人類は繁殖の楔から解き放たれるのかなぁ、よくわかんねぇなぁ。想像力の欠如、かなしい。
「第六ポンプ」の、真綿で絞め殺すような人類最後の生き残り劇はなかなかつらいものがありまして、世の中バカばっかりと口癖のように言う人がいますがいざバカばっかりになったらとんでもないことになるよね。関係ないね。なんとなくだけど、作者の今どきの若者に対する失望とか叱咤も含まれている気がした一作。


暗いものが多いですが、非常に面白く読めた作品でした。SF界の新星は伊達じゃない。