はるまで、くるる。


何がきっかけでこのゲームやることになったのかはまったく忘れてしまったのですが(たぶんエロゲの先生がおもろい言ってたから)、久しぶりにこりゃあやって良かったなぁと思える良作でした。しかし、最近は自身のエロゲー回帰が激しいなホントに……。
そんでワシな、本作をDLsiteで購入した数日後に半額セールになってるの見てな、ブチギレしたけどな、プレイし終わったらそんな怒りも吹きとんでましたわ。むしろ半額なんて不義理なことせずにちゃんとソフトハウスにお布施できたと感謝したくらいですわ。まだ書き終わってないけど同じメーカーの新作(といっても出たのは2013年)もすでに買う腹積もりです。いやー、今まで美少女ゲームアワードなんてどうせ出来レースだろと軽視してましたがちゃんと参考にするべきですね。なぜなら本作は2012年度のシナリオ銀賞を獲得しているからであり、次作のなつくもゆるるは2013年度のシナリオ金賞を獲ってるようですから、信頼していくスタイルでいきますよ。で、信頼ついでに過去の大賞作品とシナリオ賞受賞作品で未プレイのがあったら片っ端からやったろうと今は思っておるのです。中古で買う方が安いけどお布施したという満足を得るためにしっかりと、DL販売があれば新品を買います。なければ中古です。それは時代に対応してないのが悪い。


なんか前置き長くなったけど書いていきます。
まず面食らったのがOP。OP曲を歌う電気式華憐音楽集団は特にファンというわけでもないのですが、BlackCycが好きで度々遭遇していたので激しいヘビメタっぽい音楽の人たちという認識だったのになにあのさわやかな曲は。なんか別人になってませんか。別にヘビメタを期待してるわけじゃないのですが、そこでビックリしたのがまず最初。
まず最初とか言っても私は音楽のことなんて完全なる素人耳なのでよっぽどのことじゃなければ文句言うことはないので、ねぇ?


グラフィックについて何か言いましょうか。
グラフィックは結局は個々人の好みに依るので自分の価値観全開になるのはしょうがないですよね。あえて言わせてもらうなら、「◯◯ちゃんかわいいブヒブヒ」とかなる、所謂激キャラ萌えという絵柄とはまたちょっと違うのかな、という感じ。別に私はキャラ萌えしたくてエロゲーやってるわけでもないので構わないのですが。エロも「さぁ抜くぞ!!!!!」という気合がないと催さない、というより和姦ではチンコ立ちまてん……。
かといって、「シナリオ重視のエロゲにスケベはいらへんねや!」なんてセンスのないことは申しません。むしろ、シナリオ重視だからこそスケベシーンが必要なんじゃないですか。お手手つないだだけで生死を分けるような局面で主人公とヒロインが気持ちを通わせれるんですかって、そういう説得力の話ですよ。テキストでそう匂わせるだけでも別に構わないですが、そんなかったるいことするくらいならスケベシーン挿入しちまえよって、そうなりますわな。だから、見ないとしても、シコらないとしても、エロゲーにエロシーンは必要なのです。
あ、ついったーのフォロワーの方が下着がダサいと意見していましたが、そこに関しては全面的に同意します。キャミはええんやけどな……。


なんだかんだ言ってしまいましたが、本作はシナリオが本体と言ってもよいでしょう。本体というか、メインディッシュ?
ゲームを開始してすぐに繰り広げられる肉欲ハーレム世界にまずは面食らい、もしかしたら俺はこのゲームに付き合いきれないかもしれないと開始数分で挫けかけてしまうのですが、これは高度な計算によるものでしょう。最初のつかみが大事なのはもちろんなのですが、このキャッキャウフフワールドと本筋の物語とのギャップが物語をすごいものに見せているのです。美人の隣に不細工理論です。はい、私は単にハーレムを見ると頭がおかしくなるだけです。
そう、最初はそういうイチャイチャするゲームなのかなと思うのですよ。ところがどっこい、散りばめられた伏線が地中に潜り込み発芽の時をじっと待ってるわけですね。どこまでも高く伸びる煙突と、5人以外に誰もいない行き止まりの世界。聡明でなくともアレに触れ続けたユーザーは誰でもピンとくるはずです。ループ世界なんじゃね?と。そして、さらに大多数の人はこう考えてしまうでしょう。出来過ぎな世界、繰り返す時間、正体不明の観測者、これってプログラムの世界なんじゃ……、と。まさかそんな安直な話はなかろうと思っても、一度芽生えた予測はなかなか払拭できるわけもなく、プレイヤーの意識を誘導していくのです。
そして、真実が明かされると同時に物語はドンドンと転がってゆき、その頃には寝てる暇なんかねぇ!って感じで一気にラストまで突っ走ってしまうこと請け合い。カタルシスとハッピーエンドの心地よさで、このゲームをプレイしてよかったなって、なる。なる。
ぶっちゃけた話、殺人衝動を持つ某ヒロインの話はとんでもない力業使いやがったなという気がしないでもないですが、それ以外のヒロインを軸に据えた話は良かったなぁと思います。頭のネジが外れた子も多かったけれど、いい子が多かったし。欲を言うなら、秋桜のお話でもっとミステリネタを挟むとかしてもらえれば個人的に嬉しかったかも。設定的にどうかとも思うけど。
で、今これ書きながらボーっと繰り返しOPを観てたのですが、OP冒頭で不思議の国のアリスの一文が引用されてるのって結構大きな意味があるんじゃなかろうかと思いました。穴に転げ落ちるアリス、時間と空間の狂った世界、すべてを知っていながら嗤うネコ、取り返しのつかない暴力の衝動を持つ女王、などなど。それなりにリンクしているし、あの引用はそういうことだったのかと納得してしまいました。そして今OP観てたら鏡の国のアリスだった。なにこの格好つけてトンチンカンなこと言ってる恥ずかしい子……。そ、そう!次の物語として不可能を可能にしたとかそういうことにしとこう!
なんかこういうSF的な物語で矛盾を指摘して喜ぶ人がいたりしますけど、それって無粋すぎなので僕はそういうのやりたくありません。


これを契機に萌えゲーアワード受賞作を漁ることを決心しました。なつくもゆるるも、そのうちやる。
いいゲームでした。よかった。