ガンナイトガール

萌えゲーアワードを信頼していくと宣言し、絨毯爆撃プレイの第一作目となった本作。萌えゲーアワード2013のシナリオ金賞ということで、ハードルを上げに上げてプレイに臨んだのでありました。


舞台はとある田舎。軍と絡んだなにやら怪しい研究を行っている施設があり、それのせいかどうかは定かでないが戦闘機の墜落事故があったため、人口激減し廃校になった学園。その校舎を軍が接収し、軍学校の生徒がやってきて……というお話。
軍という組織にヒロインが属す関係上、否応なしにも重いものがのしかかってくるのですが、あくまでも軍属の少女との恋愛アドベンチャーなので戦地でドンパチする場面はありません。でもなぁ、主人公が一般人(母親は高い地位にあるものの)とはいえ、どうにも箱庭感が拭えなくて狭さを感じてしまうんですよねぇ。学園モノの時点でそうなってしまうのは仕方ないことではありますが、軍学校と聞いてもう少し広がりのある世界を期待していたんだけど、うーん。
しかし、軍隊を中核に据えたこの手の作品は得てして軍隊を美化するプロパガンダ臭さを感じてしまうものですが、本作はそれほどでもないのは良かったと思います。軍属の友人ばかり持っているので私自身は割と肯定的に捉えていますが、それでもこういう作品でマンセーされるのはあまりいい気分になりませんからね。
シナリオ全体を見てみると、各ヒロインのルートで少しづつ伏線が張られると同時に謎も回収されて、最後のヒロインルートで全てが明かされるという構成になっており、爆発的なカタルシスはないもののうまく見せていたと思います。ヒロインも、個人的にはましろちゃんが大変好みで、ましろちゃんルートの終わりでは不覚にも涙がこぼれてしまいました。やっぱり私は優しい女の子が好きですわ。あと好きなのは環さんルートかな。ルートというか、環さんの飄々としたキャラが好き。他は、まぁまぁ。
ただなぁ、最後のメインヒロインのルートがどうもなぁ……。事情によって常識と安定した情緒を身につけてないとはいえ、他ヒロインのルートであれだけ足を引っ張ったり陥れるような真似をしてたってのがイライラするし、何よりそんなことをする子をメインに据えてるのが気に食わないですね。人間らしい衝動といえばそうだけど、そんなことする子がヒロインとして魅力的かと言われると、ノーですノー。それに、最終ルートまでの伏線と回収の魅せ方はうまかったけれど、肝心のオチがどうもピンとこないというかパンチが弱いというか。最後もご都合主義すぎるし。私にとっては結果的に、最初にプレイしたましろちゃんルートがクライマックスだったのでした。


あとここからは文句の垂れ流しになっちゃうので申し訳ないんですがね、まずはBGMですよ。なんでループ処理しないの?曲をただ流し続けてるからいい場面でBGMブツ切りになって気勢が削がれるんです。それくらいはちゃんとしてくださいお願いします。
で、大問題の主人公ですよ。なんですかアレ、本当に主人公にイライラしすぎて何十回と途中でやめそうになったことか。猿のようにすぐスケベに走るのは、まぁエロゲーであるから多少は仕方ないとはいえ、スケベに流されすぎじゃないですか。年頃のギンギン盛りはそうなることだってあるとはいえ、それにしてもあんまりなレベル。何よりイライラするのは、無力を自覚してるのに思慮も何もなく首をつっこんでは事態や人間関係を引っ掻き回して悪化させるところ。軍という組織が陰謀の中心にいる以上、主人公がある程度無力なのはどうしようもないし物語上の仕様ともいえる。それでもどうにかして物語に影響を与えることができるのかうまい脚本を考えるのが大事なわけだけど(実際この主人公は親に強力なコネがあるのだけど)、この主人公は考えなしにへのつっぱりのままバカの一つ覚えみたいに首を突っこんでくる。好奇心旺盛な人だったらそんなこともあろうし、それだけではこれほそイライラしないのですが、この主人公はさらにうんこをトッピングしてしまうのだから救いようがない。
その1、白痴レベルで言われたことを守らない。あいつには近づかないでほしいと前の晩にヒロインからお願いされて、その翌日にはクソみたいな言い訳をこさえてあいつに会いに行っちゃったり、舌の根も乾かないうちに人の忠告やお願いを踏みつぶす行動の連発。なんなの本当に、いい加減にして。
その2、白痴レベルで自分の考えをコロコロ変える。マジで日替わりスタンスチェンジなレベル。君がそんなにふらふらとスタンスを変えるとプレイヤーは非常に疲れるしストレスを感じる。そんな土台ガッバガバなくせに、いらない行動力で面倒事を巻き起こしやがる。なんなの、勘弁してくれ。
その3、行動原理がガキのくせにその行動分析だけは成熟した大人。今まで散々言ってきたように、もう不愉快なレベル行動が反抗期の小学生レベルで、そのくせ普段はヘラヘラした態度を取ってる。ヒロインにかける言葉もエロゲらしくいっちょまえに成熟してる。なのに、それをすぐに翻すのも相当にイラつく。なにより、普段はヘラヘラと下ネタやセクハラを平気で女の子に振れるけど、目の前に問題が起こった時は直情的に行動し、大きなものに対する反抗心もしっかりと忘れない、それに自身の行動をクールに分析する。そういうのが高校生あたりの考えた”最高にイケてる高校生”って感じで、もう見てらんない。
そんなわけで、私みたいに秩序と和を重んじて身の程を弁えた行動こそ美徳と考えるタイプの人にとっては、主人公がクソで耐えられない可能性が大いにあります。


これで金賞ってのはやや拍子抜けだけどシナリオの展開はうまいと思ったし、メインヒロイン以外のルートは結構よかったし、このままだったら総合力でかなりいい評価をつけれたのに、クソクソ主人公のせいで減点入りまくりですよ。減点というか、構成の良さを主人公のクソさが完全に塗りつぶした。叩かれに叩かれてるスターオーシャン4の主人公エッジさんでも許容できた私がここまで悪し様に罵る主人公なんて相当ですよ。むしろ、このクソクソ主人公と一心同体になりながらよくクリアまで耐えたなと自分を褒めたいレベルですよ。
はぁ……、なんかもう、本当に主人公さえまともだったら褒めるだけで終わってたしいいゲームだったと言えたのにな……。