猿の惑星:創世記

猿の惑星は大好きです。有名なオチ故に少し歩けばネタバレにぶち当たる昨今ですが、幼少の頃に旧作を観たために事無きを得て幸せな体験を送ることができたのも理由のひとつでしょう。インターネットがなくてよかった!
今作に関しては、前作のティム・バートン猿の惑星があんまりにアレだったのであまり期待せずに観たのですが、案の定というか期待しなかったおかげでガッカリせずに済んだのは幸運でした。期待してなくてよかった!


猿が高度な知能を有するようになったすべての始まりを描く本作、本当に始まりを描いただけでした。予告篇では始まりの猿シーザーが家族との愛情を抱き、しかし周囲からの理解が得られず葛藤した結果、最終的には人間が後押ししてしまうことで反乱に至る…というお話を期待していて、事実それっぽいストーリー展開なのですが、いかんせんあまりに薄っぺらい掘り下げです。主人公&ヒロインはただ配置されてるだけで特別に行動を起こすこともないの置物主人公&置物ヒロインで、シーザーも果たして主人公とその父との愛情の絆があったのかわかりにくい描写です。
たとえ三行で映画の内容を語ることができるとしても、映画というのはそこに表れないものがたくさんつまっているものですが、本作は
アルツハイマーのめっちゃすごい薬できたわ!
・猿に使ったらめっちゃ頭いい奴が誕生したわ!
・そいつが人間から虐められて反乱起こしたわ!
というのをものすごい映像で包んだような感じで、あまり心に響いてきませんでした。作中時間が長いのに淡白なのが原因なのかな。


今作の煽りは「人類への警鐘!」みたいなのだった気がするのですが、それにしても人の醜い部分にスポットが当たりすぎな気がするんですよね。ティム・バートン版はアレだったけど、人類が被支配階級にあるところから魂と誇りの再生を描くのは猿の惑星というギミックを使うならば良いものであったし、人類を貶めて猿を聖人のように描写してるのはなんだかなぁ。


イカロス号の小ネタにはニヤリとしましたが、作品自体としてはあんまりだなという具合でした。