バナナ剥きには最適の日々

円城塔の作品は読んでいると1ページに1つは泣きたくなるほどクールな言葉が出てくるのが良いのだと、誰か忘れたけど言っていて、まさしくその通りだなぁと思い、今作を読んでいても自分がこの人の作品を読むのはそれが一番大きいと感じました。
しかしクールではあっても内容は相変わらずわけわからない部分がほとんどで、でもわけわからないからこそマジでシビれる。のだと思う。というかこんなやりたい放題なことをさせてもらえる円城塔は本当に幸せ者だなぁとか、いやホント普通の作家だったらこんないい意味でふざけたことさせてもらえないんじゃないかなぁ。


相変わらず円城塔の書く文章はめちゃくちゃカッコ良かったですで終わってしまうのもあんまりなのでない頭しぼって主題を考えてみると、人間が人間という檻から脱出できていないことへの挑戦とか。当たり前や常識を疑って迂遠な検証を重ねてもまた同じところに戻ってくることへの諦観とか。たぶんそんな感じ。間違っててもこの人の作品だったらへーきへーきでゆるされるんじゃないかな。
文章がかっこいいのはもちろん魅力のひとつだけど、この人は物語の道具立てもすごくユニークで面白いから、なんだかんだで好きなのです。
結局読み終わった後はいつも「わけわからんかったな!ガハハ!」ってなるんですがね。